あまやどり


「困ったなあ。」
ミロは小さな眉を八の字にまげて空を見上げました。

空からはどしゃ降りの雨。
ミロはお使いの帰り道に、通り雨にあってしまったのです。
「今日は、お使いが終わったら
カミュと遊ぶ約束してるのに・・・。」
軒先で雨宿りしながら、ミロはぽつんとつぶやきました。

雨は、一向に降りやむ様子をみせません。
雨がやむのをずっと待っていたら
カミュと遊ぶ時間は、きっと無くなってしまうでしょう。

そこでミロは、意を決して雨の中を走って家まで帰ることにしました。
本当は、ずぶぬれになってしまうのは嫌でしたが、
カミュと遊べなくなるのはもっと嫌です。

ミロが軒先を飛び出そうとした、そのとき
誰かがミロの頭の上に傘をさしてくれました。

ミロがびっくりして見上げると、その傘の向こうに
夕焼けのような赤い髪がふわりと動くのが見えました。

今日はお外では遊べなくても、きっと楽しい時間になるはずです。