弟たちの水遊び


「アイオリアー、あっついねー。」
カノンが、ひまわりの絵の団扇をぱたぱたさせながらつぶやきました。
「うん、暑いねー。でも、アイオロス兄さんは、
『心頭滅却すれば火もまた涼し』って言ってたよ。」
アイオリアは、花火の絵の団扇をぱたぱたさせて答えました。
「うちのサガもおんなじこと言っていたよー。でもね、カノンね、
『しんとうめっきゃく』ってよく分かんないの。」
「・・・アイオリアにも分かんない。」

二人とも『しんとうめっきゃく』が分からないので
いつまでたっても涼しくはなりません。
そこで、二人は近くの川まで泳ぎに行くことにしました。

「わあ!お水、冷たくって気持ちいいね、カノン!」
「うん、すごく涼しくな・・・あっ!!」
「えっ、どうしたの、カノン?」
「わかったのだ!アイオリア!!
きっとこれが『しんとうめっきゃく』なのだ!」
「あっ!そっか、水浴びすれば火でも涼しいもんね!」
「『しんとうめっきゃく』って楽しいね〜、アイオリア。」
「うん!明日もまた一緒に『しんとうめっきゃく』しようね、カノン。」


その後、二人が「心頭滅却」の本当の意味を知るのは、
それからずーっとずーっと先のことでした。